南米予選で5位になったペルー代表は、6月中旬に行われる大陸間プレイオフでアジア予選プレイオフ勝者と対戦予定。例年はホーム&アウェイで2試合行われてきたが、今回はCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックなどの影響もあり、中立地でもある開催国カタールでの一発勝負となった。
大陸間プレイオフは元々、2022年3月中に開催される予定だったが、COVID-19の余波で各国代表のスケジュールが全世界的に後ろ倒しになったことで、プレイオフは6月の開催に変更。この変更は、プレイオフに挑む各国の選手にとって、より過酷さを増した。カタールのドーハの最低気温と最高気温とで比較すると、3月が約18〜27度、6月は約29〜40度と暑さが大きく異なる。しかもこれは中央値であり、日によっては最高気温が45度や50度を超えることも珍しくない。
そのため、FPF(ペルーサッカー連盟)はCONMEBOL(南米サッカー連盟)の協力を得た上でFIFA(国際サッカー連盟)にプレイオフ開催地の変更を要請。だがFIFA側は開催国カタールでの一発勝負を変更する意志などなく、ペルーはカタールでプレイオフを戦うことになりそうだ。
そんなカタールの猛烈な暑さを肌で感じたことのある、レイモン・マンコが口を開いた。
マンコは、自身がまだペルー代表に招集されていた2012年5月6日にアル=ワクラ(カタール)へ移籍。しかし、同クラブが外国人選手を補強しすぎたため、外国人枠の都合によりマンコはレンタル要員にされた挙げ句、同クラブで公式戦に1試合も出場することなく同年中に退団した過去を持つ。
「試合は常に夜に行われた。とてつもなく暑くて、ものすごく息苦しく、トレーニング中に何度も呼吸困難に陥ったほどだった。6月は、今以上に過酷な暑さになる。10年前に私がカタールのクラブに移籍したとき、チームスタッフから暑さ対策のワクチンを打ってもらったことを覚えている。さらに彼らは、暑さに体を慣れさせようと毎日30分間の(散歩による)日光浴をするよう私に勧めてきた。でも私はほとんど歩くことができなかった。あまりにも暑すぎたからだ」
ペルーの地元メディアにそう回答したマンコは、「カタールの酷暑を知る一人として、今のペルー代表にアドバイスできることはあるか」と尋ねられて、次のようなコメントを残した。
「理想を言うなら、試合日の少なくとも2週間前には現地入りしておくことかな。暑さに慣れるまでは、とても試合に臨める状態にはできないから。対戦相手は未定だが、UAE(アラブ首長国連邦)になる可能性があるよね。UAE代表はあの特殊な気候になれているから、UAEとの対戦になったらペルーにとっては中立地でなくアウェイのような環境になる。注意が必要だね」
マンコの体験談は、ペルー代表の大陸間プレイオフ突破の一助となるのか。
◆ レイモン・マンコ
- 本名:
- レイモン・オランヘル・マンコ・アルバラシン
- 生年月日:
- 1990年8月23日生まれ(31歳)
- 出身:
- ペルー(ルリン)
- 身長:
- 172cm
- ポジション:
- ミッドフィルダー
17歳だった2007に名門アリアンサ・リマでデビューすると、同年にはU-17ワールドカップにも出場して3ゴールをマークし、一躍脚光を浴びた。18歳の若さでオランダの名門PSVアイントホーフェンに移籍したが、1年半でペルーに戻った。その後は国内外で移籍を繰り返していて、やがてペルー代表にも招集されなくなっている。ウニオン・コメルシオで復調すると、2019年はレアル・ガルシラッソに加入したが、新監督との確執や起用法への不満などからわずか5ヶ月間で退団。同年7月にスポルト・ボーイスに加入してチームの1部残留に貢献した。2020年は前年王者のデポルティーボ・アリアンサ・ウニベルシダーに移籍してリベルタドーレスにも出場したが、COVID-19のパンデミックによる中断期間中に首脳陣と対立して退団。アトレティコ・グラウへ移籍したが、チームを残留には導けなかった。2021年にはアリアンサ・ウニベルシダーに加入したが、こちらでもチームを残留には導けず。2022年はキャリア初の2部リーグに舞台を移した。元ペルー代表。