殺人事件にまで発展した暴動の制裁へ 検察はサン・ジャヌアーリオの使用禁止を要求

2017.07.09 カンピオナート・ブラジレイロ 2017
▲ 暴動を受けて緊急閉鎖されたサン・ジャヌアーリオの通路口。ガラスには所々に銃弾が撃ち込まれた跡のような傷が散見される

バスコ・ダ・ガマは当面の間ホームスタジアムで戦えなくなるかもしれない。Ferj(リオ・デ・ジャネイロ州サッカー連盟)とCBF(ブラジルサッカー連盟)からの報告を受けたリオ・デ・ジャネイロの行政機関は10日、バスコ・ダ・ガマに対してエスタジオ・サン・ジャヌアーリオの使用を当面の間禁止する処分を科す見込みであるという。

問題視されているのは、8日に同スタジアムで行われたカンピオナート・ブラジレイロの第12節「バスコ・ダ・ガマ vs フラメンゴ」の試合後。0-1 でバスコの敗戦が決まると、スタンドの一角でバスカイーノ(バスコのサポーター)の一部が暴徒化すると、スタジアムの内外で暴動に発展した。その際、沈静化を試みた地元の軍警察と衝突になって1人の死者を含めて数人が死傷する事件となった。スタジアム内ではバリケードやガラス戸などの破壊行為も確認されていて、一連の騒動は行政や司法を巻き込んで処分されることになった。

当事者となったバスコのフロントは速やかに上申し、FerjとCBFは軍警察らとともに対応を協議した。そして、検察官からは『サン・ジャヌアーリオの使用禁止処分』が要求されたという。理由について検察側は「観客の安全性が担保されていないままでこの先も公式戦を行った場合、第二・第三の犠牲者が出る恐れがあるため」としていて、最大で公式戦10試合分の使用禁止を求めている。なお、この処分については近日中にSTJD(上級司法スポーツ裁判所)で審議されるようだ。

処分の詳細について検察は、「最大10試合分は目安で、今後の対策次第では延長もありうる」と言及している。一方、バスコに対しては10万ヘアウ(日本円で約348万円)の制裁金が科されるという。

今回の暴動では、リオ・デ・ジャネイロ西部のサンタ・クルスに暮らしていた27歳のダビ・ホッシャ・ロペスさんが暴動により命を落としたが、死因が銃撃によるものであったことが物議を醸している。一部では「警察官が撃ち殺した」との情報も上がっているが、発砲した人物の特定には至っておらず、犯人の特定が急がれる。