マンコはゴールを決めても悲しみを隠さず 反政府デモで犠牲になった若者へ哀悼

2020.11.19 リーガ1 (ペルー1部リーグ) 2020

▲ 16日の試合後のインタビューで口をマスクで隠してインタビューに応じるレイモン・マンコ

16日に行われたリーガ1(ペルー1部リーグ)の試合で、1ゴール1アシストと活躍した元ペルー代表MFレイモン・マンコが、試合後にマスクで口を覆ってインタビューに応じた。そこでマンコの口から漏れたのは、先の国内デモで急逝した若き国民への哀悼だった。

同日の試合で約32mの距離から先制のロングシュートを決めたマンコは、右手を左胸に当てるポーズを披露。このポーズについて、試合後に問われたマンコはその意図を次のように説明した。

「今日決めた私のゴールは、我々の権利と、たくさんの腐敗にうんざりしている国の民主主義を守るべく、昨日犠牲になった若者への哀悼を示した。昨日の犠牲によって国民が権力への闘いを止めないように願うとともに、我々は政治に関するすべてのゴミを片付けなければならない」

マンコも言及した犠牲者とは、ペルー国内の政治デモで犠牲になったインティ・ソテーロ・カマルゴ氏とジャック・ブライアン・ピンタード・サンチェス氏の二名。いずれも17歳未満だったことも、ペルー国民ならびにマンコの怒りを助長した。

アトレティコ・グラウでは、マンコのみならず、追加点を決めたジェフェルソン・コラソスもまたマンコと同様のパフォーマンスをしており、情勢不安により犠牲になった若き命への抗議はペルー国内に広がる様相だ。

◆ レイモン・マンコ

本名:
レイモン・オランヘル・マンコ・アルバラシン
生年月日:
1990年8月23日生まれ(30歳)
出身:
ペルー(ルリン)
身長:
172cm
ポジション:
ミッドフィルダー

17歳だった2007に名門アリアンサ・リマでデビューすると、同年にはU-17ワールドカップにも出場して3ゴールをマークし、一躍脚光を浴びた。18歳の若さでオランダの名門PSVアイントホーフェンに移籍したが、1年半でペルーに戻った。その後は国内外で移籍を繰り返していて、やがてペルー代表にも招集されなくなっている。ウニオン・コメルシオで復調すると、2019年はレアル・ガルシラッソに加入したが、新監督との確執や起用法への不満などからわずか5ヶ月間で退団。同年7月にスポルト・ボーイスに加入してチームの1部残留に貢献した。2020年は前年王者のデポルティーボ・アトレティコ・グラウに移籍してリベルタドーレスにも出場したが、COVID-19のパンデミックによる中断期間中に首脳陣と対立して退団。アトレティコ・グラウへ活躍の場を移している。元ペルー代表。