新天地でアウェイへの遠征を拒否したマンコ 契約解除で年内は無所属が決定的に

2024.10.22 コパ・ペルー 2024
▲ セロ・デ・パスコへの遠征を拒否したことでサポーターに乗車するタクシーを取り囲まれた(左)元ペルー代表MFレイモン・マンコ(右)

マンコがペルー国内でまた一悶着を起こし、物議を醸している。所属チームでアウェイへの遠征を拒否したうえに、クラブから契約解除を言い渡された。

34歳の元ペルー代表MFレイモン・マンコは8月にリーガ2(ペルー2部リーグ)のカルロス・ステインに所属して公式戦にも出場したが、カルロス・ステインは残念ながら残留を果たせず3部降格。降格を以てマンコは退団となった。

そして9月23日、マンコはリマ県北部のサンタ・マリーアをホームタウンとするレアル・インデペンディエンテに加入。レアル・インデペンディエンテは「いたずら心と大胆なドリブルを長所とする選手が、ゴールのために我々の助けになってくれるだろう。フロント、チームメイト、そしてサポーター全体があなたを歓迎する」とマンコを讃え、コパ・ペルーでの活躍に期待を寄せるインチャ(サポーター)も少なくなかった。その一方で現地メディアでは、近年満足にプレイできずにいるマンコのコンディションに懐疑的な論調を出す媒体もあった。

ところが迎えた10月19日、20日のコパ・ペルー第2節(エコセン・パスコ戦)が行われるセロ・デ・パスコに向かうチームへの帯同に、マンコら数人の選手が拒否。この対応に怒りを募らせたインチャの一部は、マンコらが乗り込んだタクシーを取り囲んで罵声を浴びせるなどに至った。スマートフォンで撮影された動画には、マンコらに向けて「悪党」「うぬぼれ」「詐欺師」といった辛辣な表現もあった。

マンコは第1節でもDNI(国民身分証明書)を所持していなかったことを理由に試合に出場できなかったことがあり、この一件もインチャから「詐欺師」と罵られた一因で、遠征拒否がインチャの怒りの油に火を注いだ格好となった。なかには車内からマンコを引きずり出そうとする者もいたが、幸いマンコにケガはなかった。

一連の動向を受けて21日、レアル・インデペンディエンテはマンコとの契約解除を発表。その理由を、クラブは次のように説明している。

「レイモン・オランヘル・マンコ・アルバラシンは正式にクラブから離れることになった。この決定は双方の合意を元に最良の条件下でなされ、双方の幸福を優先した。我々はこれまでの不祥事などを遺憾に思うとともに、クラブの今季の目標を再確認した。我々は目標を達成するために前進をし続ける必要がある」

クラブの声明は円満な契約解除を強調しているものの、文脈からはマンコへの不満も垣間見える。

かくして、コパ・ペルーに一度も出場することなくフリーの身になったマンコ。流浪のマンコは来年どこへ行く?

◆ レイモン・マンコ

本名:
レイモン・オランヘル・マンコ・アルバラシン
生年月日:
1990年8月23日生まれ(34歳)
出身:
ペルー(ルリン)
身長:
172cm
ポジション:
ミッドフィルダー

17歳だった2007に名門アリアンサ・リマでデビューすると、同年にはU-17ワールドカップにも出場して3ゴールをマークし、一躍脚光を浴びた。18歳の若さでオランダの名門PSVアイントホーフェンに移籍したが、1年半でペルーに戻った。その後は国内外で移籍を繰り返していて、やがてペルー代表にも招集されなくなっている。ウニオン・コメルシオで復調すると、2019年はレアル・ガルシラッソに加入したが、新監督との確執や起用法への不満などからわずか5ヶ月間で退団。同年7月にスポルト・ボーイスに加入してチームの1部残留に貢献した。2020年は前年王者のデポルティーボ・アリアンサ・ウニベルシダーに移籍してリベルタドーレスにも出場したが、COVID-19のパンデミックによる中断期間中に首脳陣と対立して退団。アトレティコ・グラウへ移籍したが、チームを残留には導けなかった。2021年にはアリアンサ・ウニベルシダーに加入したが、こちらでもチームを残留には導けず。2022年はキャリア初の2部リーグに舞台を移したが、半年足らずでサントス・デ・ナスカを退団。同年7月にファン・アウリッチに加入して、チームの残留には貢献した。2023年は7人制サッカーに活躍の場を移し、2024年にはウニオン・コメルシオと契約したが、負傷により試合に出られず契約を終了。同年8月に同国2部のカルロス・ステインと契約した。元ペルー代表。