10月13日にペルーの首都リマで行われたワールドカップ南米予選の第2節「ペルー vs ブラジル」はブラジルが逆転勝利を収めたが、この試合での判定を巡ってペルー国内では当該の試合を裁いた主審への批判が渦巻いている。
当該の試合を裁いたのは、チリ人のフリオ・バスクニャン氏で、ペルー人を筆頭とするペルー代表を応援する人たちが異口同音に怒っているのが、79分の場面だ。右からの折り返しでゴールエリアへ駆け込んだネイマールが転倒すると、チリ人主審は迷わずカルロス・サンブラーノのファウルを取ってブラジルにPKを与えた。このときのネイマールの転倒がサンブラーノとの明確な交錯によるものでなかったとの見解から、ペルーのイレブンは主審に詰め寄って抗議したが判定は覆らなかった。
両者の命運を左右する場面での“誤審”に、ペルー国内のメディアは激怒。全国紙「El Comercio」は「ペルー代表はブラジル相手に良い試合をしたが、主審の誤ったジャッジが敗北につながった」との論調を掲載。また、全国紙の「La República」は「スキャンダル」と表現して、「ネイマールが倒れた場面で存在しないはずのPKを指示した」と辛辣な批判を展開した。
さらに同国のスポーツサイト「Diario Depor」は「暴行だ!」と強烈な表現でチリ人主審のミスジャッジを糾弾しており、前述の誤審だけでなく他にもブラジルに忖度した誤審が複数あったと言及した。
そんなブラジル戦を観戦して怒りを募らせているのが、レイモン・マンコ。当該の試合をテレビ観戦していたマンコは、自国のメディアと同様にチリ人主審への憤りを表現した。
「彼(チリ人主審)は我々から盗んだ! 79分の場面でネイマールが倒れたのは、本当にサンブラーノのせいなのか!? ふざけるな! 泥棒!」
このたびの誤審疑惑については、ペルーのマルティン・ビスカラ大統領も「ブラジルは審判に忖度する必要もないくらい強いだろう」と皮肉を表現していて、試合中のジャッジに憤りを示している。こうした経緯から、ペルーとブラジルの間に新たなわだかまりが生じる可能性も指摘されている。
かくして、マンコの憤りはどのような影響をもたらすのか。
◆ レイモン・マンコ
- 本名:
- レイモン・オランヘル・マンコ・アルバラシン
- 生年月日:
- 1990年8月23日生まれ(30歳)
- 出身:
- ペルー(ルリン)
- 身長:
- 172cm
- ポジション:
- ミッドフィルダー
17歳だった2007に名門アリアンサ・リマでデビューすると、同年にはU-17ワールドカップにも出場して3ゴールをマークし、一躍脚光を浴びた。18歳の若さでオランダの名門PSVアイントホーフェンに移籍したが、1年半でペルーに戻った。その後は国内外で移籍を繰り返していて、やがてペルー代表にも招集されなくなっている。ウニオン・コメルシオで復調すると、2019年はレアル・ガルシラッソに加入したが、新監督との確執や起用法への不満などからわずか5ヶ月間で退団。同年7月にスポルト・ボーイスに加入してチームの1部残留に貢献した。2020年は前年王者のデポルティーボ・アトレティコ・グラウに移籍してリベルタドーレスにも出場したが、COVID-19のパンデミックによる中断期間中に首脳陣と対立して退団。アトレティコ・グラウへ活躍の場を移している。元ペルー代表。